家庭菜園で栽培している野菜が病気になったり、害虫が繁殖する条件をご存じですか?
病害虫対策は健康で元気な野菜作りに欠かせないですよね。
できれば、被害が出る前に予防したいです。
私は対処療法のように考えていましたが、『予防』する考えに切り替えたことで、対処できる幅が広がったように思います。
そこで今回は病害虫の発生条件から予防する具体的な方法について考えてみたいと思います。
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病害虫が発生してから対応する対処療法ではなく予防することに意識を向けてね。
この記事からわかること
病気が発生する原因を考える
病気は、その元であるウイルスや細菌などの病原体が存在している必要があるのですが、存在だけでは病気になることはありません。
病気の誘因は、自然的要因と人為的要因です。
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つまり、病気になるのは環境の問題が大きいってこと?
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そうだよ。
病原体を活性化させない環境維持が大切!
自然的要因
温度、湿度、日照、風雨
気温が高く、高湿度、日照不足で風雨が多いと病原体が繁殖して作物の感染リスクが高まります。
●温度:周囲温度が20~25℃付近になる夏季では、多くの病原体にとって最適な繁殖温度です。この温度帯では、病原体が活発になり、感染が広がりやすくなります。
●湿度:高湿度では菌やカビなどの病原体の繁殖を助長します。葉や茎が常に湿った状態は病原体が繁殖しやすく、うどんこ病やべと病、灰色かび病など病原体は急速に繁殖します。
●日照:日照不足なると作物の光合成が減少し、植物の健康状態が悪化します。これにより病気に対する抵抗力が低下し、病原体に感染しやすくなります。
●風雨:風雨により病原体が広範囲に拡散されることがあります。風によって病原体が運ばれ、病気の発生リスクが高まります。
人為的要因
栽培法、施肥法
- 栽培法:短期な輪作
- 施肥法:チッ素肥料の過剰施用
短期な輪作が要因となる理由
●病原菌の蓄積
短期的な輪作では、土壌中に特定の病原菌が蓄積しやすくなります。
これにより、次に栽培する作物が、同じ病原菌に感染しやすくなります。
●土壌の疲弊
短期的な輪作では、特定の栄養素が過剰に消費され、土壌が疲弊します。
栄養バランスが崩れることで、作物の健康が損なわれ、病気に対する抵抗力が低下します。
これにより、病気の発生リスクが高まります。
チッ素肥料の過剰施用
●栄養バランスの崩れ
チッ素肥料の過剰施用は、他の栄養素とのバランスを崩す原因となります。チッ素が過剰になると、カリウムやリンなどの他の重要な栄養素の吸収が阻害されることがあります。
これにより、植物の全体的な健康状態が悪化し、病気に対する抵抗力が低下します。
●土壌の酸性化
チッ素肥料の過剰施用は、土壌の酸性化を引き起こします。
酸性土壌は、特定の病原体の繁殖を助長する環境を作り出します。
これにより、植物が病気に感染しやすくなります。
病気の発生を抑えるには栽培法・施肥法を見直す
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害虫が発生する原因
害虫による食害は、エサとなる野菜が大量に植えられたため誘引されて集まります。
害虫の誘因も、自然的要因、生物的要因、人為的要因があります。
自然的要因
気温、風雨
気象の条件は害虫の発生に大きく影響します。
- 温度:高い
- 湿度:雨が少ない
気温が上昇する夏季では、害虫は活発になります。
また、雨が少ないと湿度が低下し、乾燥した環境が作られます。多くの害虫は乾燥した環境を好み、湿度が低いと活動が活発になります。例えば、アブラムシやハダニなどは乾燥した環境で繁殖しやすくなります。
生物的要因
天敵の働きが不十分
自然環境下では、この天敵が有効に働いており、特定の昆虫だけが大量発生することはありません。
もちろん畑でも有効に働いてくれていますが、野菜畑のように単一の植物だけが植えられている不自然な環境では天敵だけの働きだけでは不十分な場合が多いのです。
人為的要因
防除を怠る
害虫は短期間で大量に繁殖します。
防除を怠ると、害虫の繁殖サイクルが途切れることなく続き、次第にその数が増加します。
例えば、アブラムシやハダニは数週間で数世代を経ることができるため、適切な防除を行わないと急速に増殖し続けます。
害虫を抑えるには防除方法を見直す。
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病害虫を予防する方法
病気を予防する
病気を予防には、『栽培法』か『施肥法』を見直すということでした。
そこで具体的な予防方法を見ていきたいと思います。
- 耕種的な予防・・・栽培法で予防する方法
- 物理的な予防・・・被覆・熱・光などの物理的な方法で予防する方法
- 化学的な予防・・・農薬で予防する方法
耕種的な病原予防
●輪作による栽培法
短期な輪作をやめ、病原体の影響を少なくする輪作を取り入れる。例えば、イタリアンライグラス→レタス→ジャガイモ→キャベツのようにローテーションすると被害を低減できます。
●接ぎ木による栽培
接ぎ木は土壌伝染性の病害を回避するための方法としても利用されます。耐病性のある台木(だいぎ)をに穂木を接ぎ合わせます。例えば、スイカの台木にはカボチャの穂木が用いられることがあります。
●植付け時期をずらした栽培
例えば、トマトは高温多湿の環境では灰色かび病などの病原体が発生しやすくなります。そこで植え付け時期を通常よりも早めに行い、成長期を涼しい時期に合わせることで、病害の発生を抑えることができます
●その他 新たな病原体の発生源にならないよう畑周辺の清掃の心がけたり、ハウス栽培であれば、窓を開けるて換気を行う。 また細菌や糸状菌などの胞子・菌核の中には、流水や雨水によって運ばれるものがあるため、土壌の排水状態にも配慮が必要です。
物理的な病原予防
被覆(マルチング)を利用して太陽熱により土壌消毒法をします。
科学的な病原予防
農薬を使って予防します。最近では殺菌効果だけではなく、作物自体の抵抗力を増強させる薬剤もあります。種子消毒、土壌消毒、直接散布があります。
農薬が最も簡単に使用できるが万能ではない。耕種的や物理的な病原予防を実施したうえで補助的に使用するのが効果的
害虫を予防する
害虫を予防する方法を具体的に見ていきます。
- 耕種的な害虫予防・・・栽培法で予防する方法
- 物理的な害虫予防・・・被覆・熱・光などの物理的な方法で予防する方法
- 化学的な害虫予防・・・農薬で予防する方法
耕種的な害虫予防
慣行的な技術(輪作、混作、冬期の耕うん、雑草の除草など)による方法で害虫の繁殖や活動を抑えます。
混作による防虫対策に興味がある方は、過去記事【農薬は使わない!家庭菜園の病害虫を防除する5つの方法】を合わせてご覧ください。
物理的な害虫予防
何と言っても「捕殺」です!
その他、光・色・音を用いた方法もあります。
例えば「光」では特定の波長を出すライトに害虫が誘引されるようにしたり、「色」では黄色や青色をした粘着トラップを仕掛け誘引された害虫を捕まえます。また、振動や超音波を用いた装置があります。
科学的な害虫予防
農薬を用いた予防方法になります。
長所としては効果が早く現れることです。
多くの種類があり、状況に応じて適したものを使用できること、高い予防性能があり、能率がいいことが挙げられます。
一方で過度な使用は、抵抗性をもった害虫が出現したり、天敵や近隣環境に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
病害と同様に耕種的な方法により、害虫の繁殖や活動を抑えるたうえで必要に応じて農薬を使用する。
まとめ
- 病気の予防は人為的要因(栽培法・施肥法)を対策する。
- 害虫の予防は人為的要因(防除を怠る)を対策する。
- 病気・害虫予防のいづれにおいても、耕種的・物理的な方法を実施したうえで科学的な農薬を使用する。
最後まで記事を読んでくれてありがとう。
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農薬の前にやるべきことを忘れないでね
輪作や混作について興味がある方は、過去記事(成長不良を未然に防止!『作付け計画』×『輪作』×『混作』で美味しい野菜を持続的に作り続ける方法)を合わせてご覧ください。
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