ブロッコリーで土壌を消毒するって信じられますか?
実は本当なんです。
しかも! 収穫後のブロッコリーの残りを畑にすき込みだけです。
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家庭菜園を続けていると、どうしても土壌の病原菌が原因で、野菜が病気になってしまいます。
しっかりと予防対策をしなければいけません。
- 耕種的な病気予防・・・輪作・混植で予防する方法
- 物理的な病気予防・・・被覆・熱・光などの物理的な方法で予防する方法
- 化学的な病気予防・・・農薬で予防する方法
しかし、紹介する方法は一般的な病気予防とは異なり、『ブロッコリーを畑にすき込む』だけです。
そこで今回は、収穫後のブロッコリーを畑にすき込むだけで土壌消毒して病気を予防する方法について解説したいと思います。
また、ブロッコリーの後作におススメの野菜を紹介します。
この記事からわかること
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低コストの土壌消毒です
最後まで記事を読んでね
収穫後ブロッコリーのすき込み効果は?
ブロッコリーを土壌にすき込むと消毒成分に変化します。
ブロッコリーに含まれるアブラナ科独特の辛味成分(グルコシノレート)が土壌中で分解され、揮発性があるイソチオシアネートに変化することで土壌消毒の作用が発生します。※
正確には、ブロッコリー以外のアブラナ科の野菜にもその成分がありますが、特にブロッコリーにはその成分が多く含まれています。
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※アブラナ科植物の細胞組織にはグルコシノレートが特に豊富に含まれており,すき込みなどの作業で細胞組織が破壊されると酵素のミロシナーゼが反応し,グルコシノレートが加水分解されて,殺虫,殺センチュウ,殺菌および植物毒性の効果に関係するイソチオシアネート(ITC)類が生成される。同じアブラナ科作物の中でも,葉組織におけるアリルイソチオシアネート(AITC,揮 発性の殺菌性合成物)生産が高いものほど,各種の植物病原性菌類の生長を抑える。
出典:「Verticilliumdahliae,V. longisporumのブロッコリーおよびカリフラワーに対する病原性とキャベツバーティシリウム萎凋病に対するブロッコリー残渣のすき込み効果」(2003年 日本植物病理学会報)
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畑にすき込みだけで効果があるの?
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そうなんだ!
低コストの土壌消毒方法だよ
ブロッコリーの品種による効果の差もあるけど、低コストの土壌消毒ができます。
理屈としては農薬を使った土壌燻蒸(どうじょうくんじょう)と同じです。
ちなみに論文では「緑帝」という品種で検証されました。
その他グルコシノレートを多く含む野菜「カラシナ」等でも同様の効果ができます。
ブロッコリーの栽培スケジュールとすき込み方法
ここではブロッコリーの栽培スケジュールとすき込み方法を解説します。
ブロッコリーの栽培スケジュール
ブロッコリーは涼しい環境を好みます。
秋どりのブロッコリーは遮光などにより、気温を下げて栽培することが大切です。
- 種まき:7月
- 植付け:9月上旬
- 収 穫:10月~12月上旬
- 種まき:9月~10月
- 植付け:11月下旬まで
- 収 穫:3月~4月中旬
すき込み方法
ブロッコリー収穫後、畑に残った葉・茎・根をすき込むことで、消毒成分であるイソチオシアネートが発生します。
- ブロッコリー収穫後、葉・茎は20cm程度に切る。
- 土壌の深さ10cm程度に葉・茎・根をすき込む。
全て生のままでOKです。
すき込んだ後、透明なビニールなどで覆い、2週間程度そのままにすることで分解が促進され、消毒効果が高まります。
ブロッコリーの後作
- エダマメ(マメ科)
- 秋ジャガイモ(ナス科)
- トウモロコシ(イネ科)
【エダマメ】
ブロッコリーはあまり肥料を必要としないため、結果として残肥も少なくなります。そのため、エダマメのような肥料分が少なくてもよく育つ野菜はおススメです。
【秋ジャガイモ】
ジャガイモは、ブロッコリーとの混植は相性が悪く、おススメできませんが、土壌消毒後であれば「そうか病」等の病気を予防できます。
【トウモロコシ】
トウモロコシは、残肥が少ない土壌であっても深く根を張り、強い吸肥力があるので土壌の余った養分を吸い出し生育します。
まとめ
- ブロッコリーにより土壌が消毒される理由
- グルコシノレートが分解され、イソチオシアネートに変化することで土壌消毒
- ブロッコリーのすき込み方
- ブロッコリー収穫後、葉・茎は20cm程度に切る。
- 土壌の深さ10cm程度に葉・茎・根をすき込む。
- ブロッコリーの後作
- エダマメ(マメ科)
- 秋ジャガイモ(ナス科)
- トウモロコシ(イネ科)
今回は一般的な病気予防とはちょっと違った方法ですが、簡単に取り組むことができるので、ぜひ試してみてください。
なお『一般的な病気予防』に興味がある方は、ぜひ過去記事も合わせてご覧ください。
・なぜ病害虫が発生するの?発生条件から予防を考える
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最後まで記事を読んでくれてありがとう